ニューヨークの美大留学生です。アメリカと日本のハーフ&バイリンガル。
暴走車がタイムズスクエアに突っ込んで、死者やけが人が出た事故、おぼえてますか?
実は私、あの場にいたんです。
あの日、ちょうどタイムズスクエアにいた私
事故があった日、ちょうど用があってマンハッタン行った私は、いつものようにタイムズスクエアの交差点にいました。道の反対側に渡ろうとしたら、横断歩道に着く直前で信号が赤になってしまったので、立ち止まりました。
そうしたら、いきなり一台の車がすごい勢いで道の反対側に突っ込んで、そのまま人をばんばんはね飛ばしながら走り、先の方で停まりました。
タイムズスクエア中の人たちが一斉に走り始め、私も無我夢中で走りました。
今考えるとお店とかに入って避難したほうが良かったのかもしれないけど、とにかくその時は「走れ!」としか思えなかった。
人の波に一緒にのらないと、倒れたら踏みつぶされて死んでしまうし、車の運転手が出てきて銃を乱射し始めたらとか、警察と銃撃戦になったらとか、いろんなリスクがあったことを思うと、やっぱりその場から走ってできるだけ遠くに行くのが一番いい対応だったと思います。
5秒の違いで、私が死んだ娘になっていたかも
数ブロック離れたところから地下鉄に乗って、ブルックリンのうちに帰りました。ちょうど、ベラとベラの友達もうちにいたので、三人でアパートの屋上に出て、事故のことを話しながら暗くなるまでそこにいました。
さっきの事故で、ミシガンから観光旅行に来ていた18歳の女の子が死んだとニュース速報がでて、震えが止まらなくなりました。
本当に、あと5秒早く私が交差点について青信号で向こうに渡れていたら、死んでいたのは私だったかもしれない。
アパートの屋上から見える景色はいつもと変わらないはずなのに、なんだかすごく価値のあるもののような気持ちがしました。
今を精一杯生きる
ニュースで、車を運転していたのは海軍退役兵だと言っていました。
ドラッグを使った状態で「死にたい」と思い、事故を起こせば警官が射殺してくれると思ってわざと人が集まるタイムズスクエアに突っ込んだそうです。
私もふくめて、あの時タイムズスクエアにいた人で次の瞬間何が起こるかわかっていた人なんて、ひとりもいなかったはず。でも実際には思いもしないことが思ってしまうこともある。
ロジックではなく、心からそう感じました。
いつも大丈夫と思っているけれど、こんな時急にめまいがしたら、下の歩道に落ちて死んでしまうかもしれない。
生きていることは全然当たり前のことじゃない。
何がきっかけで死んでしまうかわからないのだから、確実に生きている今のこの瞬間をがんばって生きて、それがビーズつなぎのように長く長くなって、一日や一ヵ月や一年になるんだと思います。
事故があったのは5月だけど、しばらくこのことを書ける気持ちじゃなくて時間が経ってしまいました。
あの日から、一瞬がつながり、今の私がいるんだと思うと、いいことも悪いこともすごくリアルに強く心に刺さってくる気がします。